金型なしでものが作れる・・・
それが日本レックス株式会社
あらゆる製品に必要な試作品、試作品のデザイン、設計、検討のためのモデルを製造する
日本レックス株式会社
試作・モデルの製作から、製作する原料の供給まで、化学製品の分野で大きな成長を遂げつつある日本レックス。プラスチックの世界が高性能化し、軽量化を実現したことで、自動車から鉄道、宇宙航空技術などの輸送分野、さらに土木建築、エレクトロニクス、エネルギー開発関連など、様々な用途が生まれてくる。こうしたプラスチック技術の裾野の広がりこそが、日本レックスにとって原動力だといえる。地球環境問題や、景気低迷の時代にあって、日本レックスはその高い技術力、開発力、発想力で、力強い足取りで進んでいる。
化学製品分野で、大きな夢をふくらます!
私達が日常の暮らしの中で使うさまざまな商品は、製造される段階以前で、デザイン、設計、試作、テストなど数多くのプロセスを経て、製品の機能性・強靱性・量産性などが検討されている。携帯電話や音楽プレーヤー、ゲーム機、デジタルカメラから医薬品、化粧品などの容器、さらに自動車などの大きなものまで、すべての製造物は、試作品が作られ、テストを積み重ねて世の中に出てくる。
そうした中、CADで実体モデルを作り、試作品を作る上で求められているのが、量産品と同じ性能を持つモデルを迅速に作り上げる技術である。しかし現実には、試作品の製作には手間と時間が掛かっていた。
日本レックス株式会社は、関係各社と協力して、シリコーンゴム型に特定波長光を照射し、内部の熱可塑性樹脂を選択的に加熱する技術を発案、量産品と同じ実物モデルを成形することに成功した。これによって、これまで試作品の製作に必要だった金型を作る必要がなくなり、初期投資を抑え、さらに納期も短縮することができ、製造業界から注目を集めている。
高校の教師をしていました。
高見 正光社長
日本レックス株式会社 高見正光代表取締役にお話を伺ってみた。
高見「会社を設立する以前は商業高校の先生をやっていました。その後、ドイツに行ってケミカルを勉強したんです。化学については全く知らなかったんですよ、まったくの文系でしたからね(笑)。ある時、ドイツの陸上競技場のグランドに撒かれているチップを見て、これは何だ?と思ったんです。あれはタイヤを細かくしたものをマイナス30度で固めたんですが、日本にはまだなかった。早速持って帰って、静岡の高校で試してみたら評判がいい。たちまち日本国内に広がって、今ではどこにでもあります。だから、あのチップを持って帰って来たのは、私が日本初(笑)」
文系だった高見社長は、ドイツで2年間ケミカルの勉強をし、仕事に活かすことができないかと会社を立ち上げた。昭和58年(1983)のことである。
高見「一貫してケミカル系で、特に試作品作りがメインですね。ものを作るにはデザインがあって、形にして、クルマなら走行テストなどを繰り返して量産体制に入る。だけど、金型で試作品を作るとなると経費が掛かるし、時間も必要です。それに設計の変更などがあると、更に時間とお金がかかる。そこで発案したのが、特定波長光を、シリコンゴム型を介して内部の熱可塑性樹脂に照射し、選択加熱・充填する技術【光成形】だったんです。これによって量産品と同じレベルの試作品を作ることができるようになったんです」
ものづくりには試作品が必要!
しかしそこまでたどり着くには、長年の努力の跡があったという。
高見「ものづくりの順序としては、まずデザインがあって、図面を作成する。そして立体化させるんですが、これを金型で製品化をすると時間と費用がかかる。そこで3軸の3D(スリーディー)のデータをもらって光造形を作ります。これは紫外線硬化といって、紫外線の光で固まる材料を使用するんですが、紫外線で製品化するものは一般的に機械的物性の強度が弱い。20年前からある技術です。
そこで光造形品をマスターとして、まず最初にシリコーンゴム型を作ります。このゴム型が金型に代わるものです。マスター1個あれば、シリコーン原料で型を作り、60度の熱を加えればだいたい4〜5時間で硬化いたします。このゴム型を左右にメスで切開すると金型と同じ形状の型ができるんです。
25年前に蛇の目ミシン工業と日本レックスが開発した技術で真空注型工法と命名をいたしました。このゴム型に真空槽の中で熱硬化性ウレタンを注入し、その後大気圧に戻し、硬化させ、製品化するのです
愛と希望と感動の《光》!?
この技術は日本から発信され、今や日本のみならず、全世界の自動車、弱電、OA、医療の分野で使用されています。しかし、この真空注型システムにも欠点があるそうだ。
高見社長は、液状の原料(熱硬化性ウレタン)を真空注型で圧力をかけて注入する方法ではなく、全く新しい発想による成形方法を考えついた。
高見「愛と希望と感動の《光》です(笑)。光を使えば、シリコーンゴム型で圧力では型の中に入らないものも、入るのではないかと考えたんです。光には30種類以上あり、近、遠赤外線、ガンマ、ベータ、放射線、エックス線・・・その中で、近赤外線の780から2000ナノメータの選択領域の光を当てると、220から250度で熱可塑性樹脂(金型で使用する樹脂)が溶融する事が分かったんです。近赤外線はシリコーンゴム型に殆ど吸収されないので、型の内部にある熱可塑性樹脂のマイクロペレット(ABS、PP、PS、アクリル、ポリカーボネート等)だけが加熱、溶融される。この事によりシリコーンゴム型で金型で使用される本物の樹脂が成形出来るようになった。この光のシステムの特許も取得いたしました。」
高見「製品の厚みは一般的には2mmです。ペレットは5mmなのでシリコーンゴム型には入らず、パウダー状にしてゴム型内に入れ近赤外線を照射すると溶融します。しかし、パウダー状の為、カサ比重(密度)0.6で過不足充填は低圧3から5kg/cmにてゴム型内に充填を行う。低圧のため、柔らかいシリコーンゴムでも変形は無い。この技術は世界で初めてです。この事により、金型なしで多品種少量生産が安価で、早く製品化に結びつくのです」
高見「ただ、欠点というか、これから研究を進めていかなければいけないところがあって、それは、近赤外線の光が当たるライトが、現在10cmで製品が10cmから15cmの物しか出来ない。従って、ライトを増やし製品として30cm或いは50cm、その先は車のバンパーも出来るように開発中です」
金型の代わりに、ゴム型で多品種少量生産が可能ですね。
高見「そうです。安く、早く試作品を作ることができるんです。金型から作るのは、手間もかかるし、コストもかかる。また光成形であれば、型がなくても200〜300個、500個の製品を作ることができます。多品種少量製品も可能なので、大量生産時代というのは過去のものになっていくのではないかと思いますね」
こうした独自の技術は、世界からも注目されていると聞いたのだが……。
高見「ドイツのメッセ、毎年12月の第一週に開催される、工業製品などの大きな展示会だけど、そこに展示します。するとやはりいろいろと注目されますね。そういう技術、他に考えているところがないからね。もちろん基本的に私は日本から足下を固めて行こうと思っています。まずなにより、「金型なしでものが作れる……それが日本レックス株式会社」ということを、多くの日本の人々に知ってもらい、一緒にやっていきたいですね」