アイメックスは「ビーズミルのパイオニア」としての地位をひた走る。
日本のモノづくりの進化を拓いたのはビーズミルがもたらした超微粉砕技術でした。
アイメックス株式会社
日本国内が、東京オリンピックの開催に向けて全力投球をしていた頃、米国デュポンは、ボールミルからサンドグラインダー(ビーズミル)を開発、その特許使用権を日本では大手インキメーカーD社が取得し、D社と取引実績があった五十嵐機械製造(現アイメックス)がサブライセンスを取得、製造することが許可されました。当初ビーズミルは顔料・染料の原料を粉砕する機械として、D社の社内設備用に製作・納品されていましたが、それだけではデュポンの技術が広がらないことから、D社と競合しないファインケミカル分野へと進出しました。以来、平成2年に社名変更し現在に至るまで、アイメックスは「ビーズミルのパイオニア」としての地位をひた走る事になったのです。
微細化・微粒化技術を通じて、日本の高度成長期の主力製品を支えてきました。
「ビーズミルの名称は、実は2003年頃に定着したものです。それまでは、サンドグラインダーや攪拌型小球媒体ミル、メディア攪拌型粉砕機、湿式超微粉砕機、媒体攪拌型粉砕分散機、流通管型媒体攪拌ミル、湿式媒体攪拌ミル、サンドミル、メディア攪拌ミル、湿式微粉砕・分散機など様々な名称で呼ばれましたが、これらを総称して、ビーズミルという名称が定着したのです。これは、1952年にデュポン社が、オッタワサンドという砂を使用したサンドグラインダーを米国で特許申請していたために、砂以外の媒体、すなわちビーズを使用した粉砕・攪拌機が輸入し、開発されたことが原因です。デュポンのサブライセンスを取得していた当社が、日本ではビーズミルを最も早く製品化したのです。」アイメックスの五十嵐社長は、ビーズミルの国内黎明期をそのようにお話しされました。「デュポンの技術はあくまでも基礎技術なのです。当初の技術は開示したが、その後は独自の技術を付加して発展していってください。というのがデュポンのスタンスでした。そこで、製品の改良とか、高性能の機械の開発をしていったわけです。一方競合他社も特許の範囲に抵触しないように、ガラスのビーズを使用したものを開発してきました。」
この頃、アイメックスはもう一つの事業の柱である、プラスチック押出成形装置の開発を進めていました。
「プラスチックの成型方法には、押出成形・射出成型・ブロー成型と3つの成型方法がありますが、私たちは押出成形の分野でユーザー開発をしてきました。この時代に塩化ビニールやセルロイドからプラスチックへと樹脂の主役は移りつつありました。ユーザーからは、自動的に切断する機械はないだろうかということで依頼をされ、自動切断機の開発を進めました。フラフープ用等パイプ状の部材や、階段の滑り止めなどの板状の部材等、プラスチックの用途は急拡大し、様々な業界に浸透してきました。この2つの事業がたちあがったことで、現在の会社の基礎ができました。」
そして、ビーズミルでは、粉砕技術を極めていくことで、新たな用途を次々と開発していきます。
「ワイシャツのポリエステル樹脂に代表される合成繊維の白色度を出すために、酸化チタンという顔料を微細化して繊維に練り込んでいく作業をするのですが、その加工をする当初は、強力な攪拌機で水溶液を攪拌して大きなタンクに貯め、24時間程度放置した上澄みを使用していました。上澄みに浮遊する細かい粒子の部分だけを使用していたため、収率や利用できる率は悪く、その収率向上にサンドグラインダーが検討されました。そしてサンドグラインダーで微細化することによって98%位は使用できるまでに収率が向上しました。大手合成繊維メーカーが、当社のサンドグラインダーを使用して酸化チタンを微細化し、ポリエステル樹脂の白色度を出す事に成功。その後顔料だけではなく、染料の世界でも微細化に成功、繊維の染色関係の技術革新に貢献しました。
次は、磁気テープです。塗布型の磁性酸化鉄の微細化にサンドグラインダーが使われました。磁気テープの進化に合わせて磁性体の種類も変化しましたが全て対応しましたね。これも大手磁気テープメーカーに採用されましたが、磁気テープからディスク型へとメディアの技術が進化、新しい技術が出てくると、それまで大量にあった磁気テープの需要は急激にダウンしました。
次は、紙関係です。FAXやワープロに使われた感熱記録紙。これは紙の上に感熱染料を細かく塗布していくものです。この染料の微細化にも使用されました。現在でも、レジの伝票等は感熱記録紙です。また、印刷等でよく使われるアート紙やコート紙等も、表面に炭酸カルシウム系顔料を塗布した特殊紙です。この顔料の微細化にもビーズミルが使われています。近年では、電子部品業界の積層セラミックコンデンサの積層する素材、チタン酸バリウム等という素材を微細化するのにもビーズミルが使われています。電子部品業界では、色々なパーツにも使われているようですが、各社製造ノウハウとして、秘密にしているので詳しくはわかりません。特に、電子部品等の場合は、ほとんど、何を造りたいのかという最終エンド製品がわからないケースがほとんどです。お客様からの相談では、素材を微細化、もっと細粒化したいという要望等もあります。処理する液体が直接製品になる、カタチになるというわけではなく、その原料を加工するということが大半です。」
このように、使用されている製品や業界は多岐にわたります。ビーズミルが微細化ということで関わったものは、ほぼ日本の高度成長期に私たちのくらしの身近にあるもの、あったものばかりなのです。
ミクロンからサブミクロン、そしてナノメートルと、時代が求めるビーズミルは新たなステージへ。
2000年1月に米国クリントン大統領が「次の最も有望な科学技術はナノテクノロジーである」と大統領教書で宣言したことをきっかけに、全世界でナノテクノロジー研究が加速しました。特に21世紀に入り、素材を微細化することや微細な加工を施す事によって新たな機能の可能性を探るビジネスが本格化してきました。ミクロンからサブミクロン、ナノメートルの時代へと移ってきたのです。五十嵐社長は、ビーズミルに求められるものが少しずつ進化していると言われます。
「素材を細かくしていくと、その他の機能や性質が出てくる事があります。例えば、酸化チタンでは、白い顔料という機能だけではなく、微細化することによって、紫外線をカットする機能や殺菌や防濁というような性質や効果がでてくることがわかってきました。それで、各社が新たな製品開発をしてくるようになったのです。例えば女性のファンデーションに微細化した酸化チタンを加えたり、帽子の繊維に練り込むことでUVカットの帽子として発売したり、衛生陶器に塗布したことで、汚れが付かない抗菌陶器となったり・・・。このような製品は全て21世紀に入ってから本格的に販売が開始されたものですが、それには、酸化チタンを微細化することによって発見された新機能が活用されているのです。」
一方で、ナノメートルまでの微細化が可能となったビーズミルでは、物理的に粉砕する限界になってきました。そうすると、今度はどう使いこなしていくか。この問題が大きいポイントになってきます。
「粒径が細かくなればなるほど、ビーズミルのビーズが小さくなってきます。従来は2mm程度だったビーズが、0.03mmのビーズを当たり前のように使用するようになってきました。最近では、0.03mmのビーズも使用されてナノ分散がなされています。効率よくナノメートルまでの粉砕ができるようになってきたわけです。一方で、今度はどのように使いこなしていくか、効果的な使い方ができるような機械が必要になってきました。」
原点に返り、新たな視点を追加した「アルファミル」が時短・高品質・低コストを実現します。
アイメックスのビーズミルは、独自形状であるピン付きディスクにより、低周速で運転できます。このことによって、ビーズミルの問題である発熱やコンタミネーションを軽減させることが可能となります。さらに、2008年に開発した「アルファミル」は画期的なビーズミルとして日本とアメリカで特許申請をしています。この「アルファミル」には、ビーズミルの基本原理・原点を見つめ直したことに新たな視点を追加した「オリフィス収縮流」という画期的なアイディアが組み込まれました。五十嵐社長は「アルファミル」をアイメックスの新たな技術的進化の起爆剤となる製品と位置づけています。
「アルファミルは『オリフィス収縮流』を利用した高効率分散処理を実現しています。従来機に比べても、2〜3倍の速さで処理をすることが可能であり、しかも高品質な均一処理と寿命が長いロングライフなビーズミルでもあるのです。」
この他にも、高い技術力をアピールする取り組みを進めています。その1つとして、小型ラボ機のラインナップを充実し、企業の研究開発部門からの囲い込みなどを進めています。それが、アイメックスの技術をさらに磨き、高めていく事にもなるからです。
本流を追求する、じっくりと取り組める人が当社には相応しいと考えています。
アイメックスではビーズミルに使用するビーズも日本国内では、アイメックスのブランドを冠した製品を提供しています。
「ビーズは消耗品ですから、どのようなビーズを使用しているのかはお客様に選択権がありますが、基本的には当社が認定した日本製をお勧めしています。それは品質の問題ですね。技術的にはどんどんキャッチアップしてきていますが、海外・特に新興国のビーズはまだまだ品質の差があります。コンタミネーションの問題を気にしなくてもよいものはそれでもよいと思いますが、電子部品等はそうはいきませんからね。」
そして、日本で製造業が生き残っていくには、どんどん技術を高め高付加価値製品に転換していかないとだめだと五十嵐社長はいわれます。
「専門メーカーとしての経験やノウハウがこれからは問われてくると思います。当社はそのような要望にこたえてきた実績と蓄積があります。ですので、技術志向に力をいれていくべきです。お客様は、ビーズミルという機械を買って頂くのではなく、技術を評価して買って頂いています。ですから、一過性の技術に流されるのではなく、物事の本質をみつめながら、本流を追求する技術開発にじっくりと取り組める人が当社には相応しいですね。」
アイメックスのアルファミル『オリフィス収縮流』は、社内の研究ラボが独自開発した技術です。それと同じように、お客様企業専用や使用目的にあった機械を設計・製造する等、お客様と一緒に機械を造り上げていく、機械を育てていく取り組みもしています。アイメックスには、このような研究開発・技術開発に集中できる環境があります。それを思う存分活かして次代のモノづくりを拓く人に会いたい、五十嵐社長の夢は無限に広がっています。
先輩メッセージ
専門用語が羅列された文章との格闘を通じて学んだのはわからないことから逃げないことでした。
才津 徹生さん
営業部 営業課
才津 徹生さん
私は、前職ではリサイクルショップで接客とともに、持ち込まれた電化製品を修理する機械いじり等を担当していました。転職をするにあたって、営業職と機械をいじる双方が出来る仕事ならば自分には向いているかなと思い、当社に入社することにしました。入社して感じたのは、当社の営業先は裾野が広いということです。電子部品関係から農薬・医療等、非常にバリエーションに富んでいます。当社の営業は業種別ではなくエリア別ですので、私は関越道エリアの全業種を担当しています。
営業先での担当窓口も、生産・製造の現場の方から研究職の方とこちらも非常にバリエーションがあります。また、お客様の大半の方は専門職ですから専門用語が多くて、一回お聞きしたくらいでは理解できないことを言ってこられることがほとんどです。最初は、わからないことを自分なりに、どう受け止めて仕事として返すかというのが、大きなテーマでした。
初めて見る単語が羅列された文書を社内のスタッフに聞いて回ったり、自分でWebや図書館に行って調べたりして、1つ1つを理解し仕事で返していく毎日でした。また、電子部品と医療系では当然ではありますが、テーマも分野も変わってきます。しかも、1社1社で専門性の高いものも多く理解するのが大変でした。ようやく入社して半年位で、お客様の求めている事が少しずつ見えてきたという感じですかね。ですから、常に勉強しなくてはならないですが、その結果として納品した製品をお客様が評価して下さった瞬間は嬉しかったですね。
当社は、ビーズミルという機械を販売しているのですが、そのビーズミルを使って、どのような最終製品が出来上がっているのかを把握することは難しいです。お客様も守秘義務や開発中の製品・技術なので、教えて下さらないことが多く、実際のところはよくわからないのです。話をお聞きして推測することしかできません。ですが、今はもう無用な詮索はしないで、わからないことから逃げないようにすることが自分に課せられた課題です。本当に毎日が勉強ですが、それも楽しいですね。
新たに就職活動をされる皆さんも、最初から、いろんなことがすぐにわかるわけではありません。また、全部をお客様や先輩が教えてくれるわけでもないと思います。ですから、わからないなりに悩むことも多いと思います。でも、あきらめないで、一生懸命いろんなところにぶつかって理解しようと努力して下さい。その努力は結果として、皆さんの中で生きた知恵・経験になると思います。私がアイメックスで学んだのは、このような行動指針でした。
先輩メッセージ
お客様に最高の満足度を産み出す、新鮮な気付きを与えられる設計を追求しています。
寺山 英明さん |
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技術部 電装課
寺山 英明さん
「ビーズミルのパイオニア」。その言葉に私は魅せられて、アイメックスへ入社しました。前職も巻き線機、コイルを巻く機械のモノづくり企業でしたので、このパイオニアという響きに技術力や歴史的な重みを感じたのですが、それは入社してからも変わりません。今は電機設計を担当しています。機械を動かすためのソフト部分の設計や図面設計です。設計は主としてCADを使ってやりますが、図面を造るまでの前工程も全て私の業務なのです。
設計での面白みは、お客様が要望された機能に対して、1ランクも2ランクも上の高性能な製品や新機能を付加した設計をすると、お客様に対して新鮮な気付きを与えられることです。お客様が、気がつかない・気が回らない部分にまで、プロとしてケアした製品づくりができる、その気付きを引き出すという努力は大切だと思います。例えば、使いやすさですね。ビーズミルの設定が複雑になっているものを簡単な操作でできるように設計した事例では、多少設計するうえでは時間はかかりましたが、納期にぎりぎりで間に合わせることができました。お客様も非常に高い評価をして下さりました。このように、技術的な対応でお客様に対してより高い満足度を産み出すことができると、社会に貢献しているなぁと実感しますね。
当社のビーズミルは、企業機密の開発や製品の上流部で活躍する事が多いので、初動の段階では、今までにないものの開発が大半です。従って、電気回路を設計するとしても、どんなものを作ればいいのかをイメージから追いかけて、1つ1つ何ができる何ができると追っていかないと、できないことが多いですね。そして突然、ブレークスルーするようにこうやればできるとわかった瞬間は、ようやく図面設計にいくことができるなと実感できます。それは、いろいろと考えているバリエーションの中で1つをピックアップするようなモノですが、楽しい作業の時間でもあります。
設計という仕事は非常にクリエイティブな仕事です。ですから、決して楽なものではありませんが、与えられた課題を達成する為にはどうすればいいのかとかを常に考えながら、自分の技術・知識レベルを高めていって、最終的にお客様に満足できるようなことができれば、これほど楽しくできる仕事はないと思います。私はそのような仕事ができる今の環境に非常に満足しています。