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成功企業紹介

株式会社アタゴ

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果物の“甘さ”などを計測する屈折計一筋で世界に飛躍!

アタゴはこんな会社

スーパーマーケットの果物売場で、りんごの脇に「糖度13度以上」といった説明書きが添えられているのを見たことはないだろうか。そうした果物の“甘さ”(=糖度)を測るのに使われているのが屈折計。アタゴは屈折計の国内シェアで約80%、世界でも154カ国以上で使用され、世界シェア約30%を誇るトップ企業だ。

アタゴの創設は1940年のこと。設立当初から屈折計を手掛け、1953年には持ち運びできる「手持屈折計」を世界で初めて開発。その数年後には海外向けの販売を開始した。

看板商品となった手持屈折計はデジタル対応の製品が登場するなど、その後、約60年にわたって改良を続けてきた。デザイン性や機能性に対しては高い評価が寄せられ、2006年の日本グッドデザイン賞「特別賞」、2009年の「文部科学省 文部科学大臣賞」など、数々の賞を受賞している。

手持屈折計以外にも、日本グッドデザイン賞「特別賞」を2003年に受賞するなどした「ポケット糖度計・濃度計PAL」、土壌や培養液のpHや導電率を測定するのに使える「デジタルpH・ECメーター」、精糖、製薬業界では欠かせない旋光計など、さまざまな計測機器を開発・製造・販売している。

ビジネスTips – ジャム用・ラーメン用など、多様な用途向けに製品を展開

屈折計は昔から、果物の糖度計測に使われてきた。しかし、それだけでは市場が限られてしまう。そこでジュースなどの飲料/ジャム/あんこなどの糖度の計測、調味料/そばつゆ/ラーメンスープなどの濃度計測、各種食品の塩分測定など、ほかの用途にも使えないかとアタゴは考えた。

新たな用途で市場を作るため、用途ごとのニーズや利用場面を考えて屈折計を改良。温度補正・防水などの機能の追加、計測できる糖度・濃度の範囲を調整するなどして、「職人の舌や勘で味を決める」ことが当たり前だった分野にも「味を科学的に計測する」機器を売り込むことで売上を伸ばしてきた。

屈折計が使えるのは、食品の味の計測だけでもない。例えば、メガネレンズの色収差の具合の数値化にも使用される。アタゴはガラスやプラスチックの屈折率測定に用いる機器も扱っている。ほかにも自動車の冷却水などに用いられる不凍液、切削・研削加工の時に使う油、金属部品を洗浄するための溶液などの濃度を計測することも可能。工業用の品質管理に用いられるなど、幅広い分野で利用されているのだ。

技術Tips – 屈折という現象はなぜ起きるのか

水の入ったコップにストローを挿すと、ストローが曲がっているように見える。これが「光の屈折」という現象。屈折計はこの現象を利用して糖度・濃度を計測する。

光が進む速度は、真空中と大気中とでわずかに異なり、大気中と水中とを比べると速度差はもっと大きくなる。

5人が手をつないで同じ速度で走っている姿を想像してみよう。走りやすい運動場を走っている分には同じ速度だが、途中に砂場があったとする。右端のAさんから斜めに砂場へ入っていく場合、Aさんから順にBさん、Cさんと砂場に入り、走る速さは遅くなる。一方、左端のEさんは最後まで速さが変わらないので、Eさんが少し余分に距離を走れることになる。5人は手をつないでいるのでAさんとEさんの進める距離の差分だけ弧を描くような形になり、5人が向かう方向が少しずれることになる。

光の屈折を簡単に説明すると、おおよそこのような現象だ。先ほどの砂場の例を続けると、砂場(=水)にたくさんの石(=砂糖など)が混ざっていると、Aさんの走る速度はもっと遅くなり、Eさんとの差はさらに広がってしまう。そして5人が向かう方向の角度のずれ(=屈折率)もより大きくなるわけだ。

こうして生じる屈折率のわずかな違いに着目して、水に混ざっている砂糖などの割合(=糖度・濃度)を割り出すのが屈折計の仕組みだ。

技術Tips –屈折計を小型化する鍵になった大胆な設計変更

手持屈折計やポケット糖度計・濃度計PALなど、小型の屈折計を開発できたことがアタゴにとっては大きな転機になっている。

動画内でも紹介しているが、製品の小型化は、単に個々の部品を小さくしてるのではない。今までキーだった部品をなくしたり、特性の違う部品を活用したり、新しい部品を加えたりと、アタゴ社員達は、全く違う物を開発している気持ちで立ち向かっている。老舗として受け継がれてきた既存製品を元に、破壊と創造を行い、知恵を出し合い、他のプロジェクトのメンバーに遅れまいと各自の担当を遂行し、エネルギーを結集している。

詳しく説明すると、手持屈折計ではプリズムの上にサンプルを置き、プリズムとサンプルの境目に沿って、境目と平行に光を差し込ませる。サンプルは大抵が液体で、プリズムは固体。一般的には液体よりも固体の方が屈折率は高いことから、サンプル側よりもプリズム側の方で光の速度は遅くなり、光はプリズム側に屈折する。サンプルの屈折率が高く(糖度・濃度が高い)、プリズムの屈折率に近い時は屈折する角度は浅く、サンプルの屈折率が低く(糖度・濃度が低い)、プリズムの屈折率との開きが大きくなると屈折する角度は深くなる。この時の屈折具合からサンプルの糖度・濃度を計測しているのだ。

【リンク】
http://www.atago.net/japanese/mame.html

会社Tips – フェラーリの工場を意識した深谷工場

アタゴの深谷工場は、工場内の壁すらガラス張りの斬新なデザイン。完成したのも2011年と新しく、清潔で見栄えの良い工場だ。

実はこの深谷工場、高級スポーツカーで知られるフェラーリの工場をモデルにして建築した。アタゴの雨宮秀行社長がイタリアにあるフェラーリ工場を視察して感銘を受けたことから音頭を取り、建築を専門にする大学教授にデザインを依頼。竣工した2011年には、工場のデザインが評価され、グッドデザイン賞を受賞した。

会社Tips – メイド・イン・ジャパンへのこだわり

アタゴは、光学レンズや金属部品の加工から、レンズ・部品に電子回路も加えて組み立てて調整し、検査をするところまで、すべて自社の国内工場で一貫して行っている。

少し前には、景気の影響からリストラされてしまった電気系の技術者を大規模に雇用。電子回路も自社で設計・製造できるようにした。

まだプラスチック部品の成形など、協力会社に頼っている部分はある。それでもできるだけ自社での製造、メイド・イン・ジャパンにこだわる考えだ。