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成功企業紹介

株式会社不二製作所

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サンドブラスト加工の可能性を追求。テレビ、太陽光発電、飛行機などの製造に欠かせない技術に

不二製作所はこんな会社

金属の表面は光沢を持っている。トロフィーなどの記念品に名前を刻むとき、建材・オブジェなどで利用したいときなどには、金属の光沢を消すために「サンドブラスト」という手法を用いることがある。サンドブラストとは、細かな砂やビーズ、植物系や樹脂系などの研磨材をぶつける加工方法。その加工に使う装置を作っているのが不二製作所だ。

「世界初」「世界一」を生み出す原動力になったのは、「面白いものを作るのが好き」という社内の文化。大企業が作っていない商品をいち早く手掛けることで、新たな市場を創り出してきた。

同社は自らの使命を「装置を作ること」ではなく「ブラストの可能性を追求し、ブラストの利点で顧客を満足させること」だと考える。例えば、サンドブラストが昔から使われていた主な用途は、めっき処理や塗装前の下地処理。金属をそのままめっきに浸けたり塗装したりしても、表面が滑らかで液体が上手く付かないため、事前にサンドブラストで表面に微細な凹凸を付けるために利用していた。同社はそうした用途以外にもサンドブラストを活用できないかと模索。顧客企業から「こんなことで困っている」と話を聞いたら、サンドブラストで課題を解決できないかと装置や研磨材を工夫してきた。試行錯誤の末に、バリ(金属加工や樹脂成型後に残る不要な出っ張り)取り用、プラズマテレビの加工用などにもサンドブラストを使えるようにし、その用途を増やしてきた。最近でも、太陽電池の表面テクスチャをブラストで形成する技術、飛行機部品をブラストして金属疲労への耐性を増す技術などを次々と生み出し、サンドブラストの可能性を広げている。

技術Tips – 国内でほぼ唯一、“エアー式”ブラスト装置を専業で手掛ける

金属などに研磨材をぶつけるブラスト装置の仕組みは、大きく2つに分かれる。圧縮空気を使って吹き付ける「エアー式」と、水車のような羽根車を高速回転させて羽根に乗せた研磨材を打ち出す「投射式」だ。

不二製作所のブラスト装置はエアー式。投射式は研磨材をどこに打ち出すか大雑把にしか決められないが、エアー式なら研磨材を狙った場所にぶつけたい量だけ正確に吹き付けることができる。さらにエアー式は、微細な研磨材を吹き付けることも得意。投射式の装置が扱える最小の研磨材は10分の1ミリほど。対してエアー式なら1000分の1ミリという極小の研磨材を吹き付けることも可能だ。

ただ、エアー式のブラスト装置を開発することは、そう簡単なことではない。狙いを付けて研磨材を噴射して、ぶつけた後に研磨材を回収し、粒の大きさによってふるい分ける(分級)ところまで、総合的な技術力が必要になる。国内でエアー式のブラスト装置を専業で手掛けているのは不二製作所くらいなのだ。

技術Tips – サンドブラストの常識を変えたシリウス加工

サンドブラストの新たな用途を模索した成果の1つとして、不二製作所が2012年10月に東京大学発のベンチャー企業と共同発表したのが研磨材の「シリウスZ」だ。

前述のとおり、金属にブラスト処理をすると、滑らかな表面に細かな凹凸が付いて梨地になる。けれどシリウスを使って処理をすると、金属表面が磨かれて鏡のように輝くのだ。

そのように加工できる秘密は、研磨材に弾性を持たせたことにある。金属の表面に対して斜めに吹き付けると、研磨材に弾性があるためにぶつかってもすぐ反射せず潰れたようになり、表面上を滑るように弾む。このとき、金属表面にあるわずかな凹凸を研磨材が紙やすりのように削り取り、金属表面が鏡のようになるのだ。

http://www.fujimfg.co.jp/ApplicationSirius.htm

シリウス加工を活用することで、目に見えない微細な凹凸やバリを取り除くことも可能になった。「吹き付ける」という方法で加工するため、球面や部品の凹凸部・内側など、従来のやり方ではきれいに研磨することが難しかったところも加工できるところもシリウス加工の利点。これまで以上に幅広い用途で、サンドブラストを使えるようになるのではないかと期待されている。

会社Tips – 研究開発に力を注ぐ企業風土

独自にエアー式ブラスト装置の技術を磨き、シリウスZの他にも大手企業と共同で複数の研究開発プロジェクトを進めている不二製作所。そうした取り組みを続けてきた結果、これまでに国内で43件、海外で31件の特許を取得した。申請中の特許も国内で23件、海外で28件もある。

それだけ多くの特許を取得できている理由の1つは、多くの社員が研究開発に従事しているところにある。不二製作所の社員数は205人だが、そのうちの約3分の1に当たる68人が技術部や開発部に所属。装置の設計・開発・改良といった短期的な成果につながる業務に取り組むのはもちろん、ブラスト手法や研磨材の研究など、長期的な視野に立って基礎的な部分の研究開発に携わる社員もいる。

会社Tips – 社員の自主性を重視。社員一人一人の個性を伸ばす

ブラストの新たな可能性を見つけ出し、可能性を現実のものにしていくためには、現場で働く社員一人一人のやる気・アイデア・責任感が大切になってくる。

そこで不二製作所は社員の自主性を伸ばす組織づくりを心掛けている。一人一人に幅広い業務を経験させて、会議などを減らして自分の仕事に専念できる時間を増やし、仕事の進め方も基本的に社員に任せている。

働くオフィスにしても、100人以上が壁や敷居などのない同じフロアで働いている。そんなオフィスの在り方が象徴しているように、上下関係は厳しくなく、風通しよく働ける職場環境になっている。