モノづくり、ものがたり。

  • サイトマップ
  • お問い合わせ

成功企業紹介

三鷹光器株式会社

上の画像をクリックすると動画が再生されます。


宇宙の仕事で培った技術を医療などの新分野に応用した研究開発型企業

三鷹光器はこんな会社

国立天文台で使われている望遠鏡、NASAのスペースシャトルに搭載された特殊カメラ、オゾンホールやブラックホールを発見した観測機器など、三鷹光器は元々、天文や宇宙関連の観測・計測機器を開発する会社だった。

それだけでも十分に一目も二目も置くに値するが、三鷹光器の中で現在の主力製品になっているのは、なんと医療用機器。脳神経外科用の手術顕微鏡システムでは、北米で約70%のシェアを誇っている。

天文・宇宙関連の分野で培ってきた光学の技術を活かす先は、医療の分野だけではない。高い加工精度が求められる半導体・金型・歯車といった製品の形状・輪郭・表面の状態を非接触で計測するための検査機器も手掛け、最近では太陽“熱”をエネルギーに変える集光装置の開発に注力している。

技術Tips – 検査機器や太陽“熱”集光装置で光学技術をどう活かしたか

三鷹光器は天文・宇宙関連の光学技術をどのように活かして新分野の製品を生み出したのだろうか。産業用の検査機器、太陽“熱”集光装置について説明しよう。

【産業用検査機器】
発端はある半導体メーカーから「半導体の良品/不良品を簡単に見分けられるようにならないか」と相談を受けたことだった。半導体の回路は現在、ナノ(10億分の1)メートル単位で製造されている。それだけ微細な回路になってくると、良品/不良品を見分けるのは至難のこと。半導体メーカーは従来手法の延長線上に解決策を見出せなかったが、三鷹光器は「新星を発見するために使う手法を応用してはどうか」と考えた。
天文の分野では新星を発見するため、何年か前の写真と最新の写真を1秒間に25コマで1つのスクリーンに交互に映し出して比較。最新の写真側を赤色の照明で光らせると、同じ場所に位置する星の像は静止した状態で見えるが、新星が発見されると12.5コマで赤色の点滅が見える。
この技術を半導体の超LSIの集積回路の欠陥を探し出す測定装置に採用した。つまり、集積回路のマスターパターンと製造したパターンを、交互に1つのスクリーンに映し出し、製造パターンを通過する光学系に赤色のフィルターを入れ25コマ以上で交互に映すと、正しいパターンは問題ないが、製造パターンに断線やショートしている部分があると、赤色で点滅表示があり、欠陥個所が確認できる、という装置を作り上げた。

【太陽“熱”集光装置】
太陽“熱”発電に不可欠なのが集光装置。水を蒸気に変えてタービンを回して発電するため、太陽光をミラーで反射させて熱を1点に集約する目的で使われる装置だ。
発電効率を上げていくために必要なのは、まず太陽の位置を正確に把握し、ミラーを常に太陽に向けておくこと。ほかのメーカーはコンピュータ制御でミラーの向きを調整するが、多少の誤差は生じてしまう。
対して三鷹光器は、望遠鏡に使う赤道儀の自動追尾技術などを活かし、ミラーの向きを自律的に調整するように試みた。まずは太陽の年周・日周運動を計算し、その日のミラーの動きを決める。そして太陽光が狙いどおりに1点に集まっているかを光電センサーで確認し、位置がずれていたら小型モーターでミラーの向きを補正するような仕組みにした。
それ以外に、ミラーの表面性状にもこだわりがある。太陽光を無駄にせず反射するためには、ミラー表面の窪みを最小限に抑えなくてはいけない。三鷹光器は集光装置を開発する前に、自社の検査装置で大手メーカーのミラーを検査してみた。すると、思っていたよりもミラー表面に窪みが多く、勝機があると考えた。そして同社が作ったミラー表面の窪みは最大のものでも0.008ミリ。太陽光の反射率は95%以上となった。
そうした工夫を重ねていった結果、三鷹光器が長野県・富士見町で試験中の装置では、反射した先の焦点では800度もの高温を記録している。

技術Tips – なぜ太陽“光”ではなく太陽“熱”だったのか

日本では今、太陽“光”発電を推進しようという動きが目立っている。一方、三鷹光器が注目したのは太陽“熱”発電。太陽“熱”発電の主な利点をまとめてみた。

【熱エネルギーとしても利用できる】
太陽“熱”発電は、発電途中に水を沸騰させる。従って給湯などにも使え、給湯用のガス使用量を減らすことができる。

【製造時の二酸化炭素排出量が少ない】
太陽“光”発電に必要な装置には半導体が組み込まれる。製造時には二酸化炭素を排出することから、「現在の太陽“光”発電装置の性能では、製造時の二酸化炭素排出分を回収することは不可能」と指摘する向きもあれば、「発電装置の稼働から2.4年で回収できる」と主張する向きもある。
一方、三鷹光器の集光装置に使われるのは主にミラー。製造時にはそれほど二酸化炭素を排出することはないため、太陽“熱”発電ならそうした心配をする必要はない。

【夜間でも発電できる】
太陽“光”は太陽が出ている時間しか使えない。しかし太陽“熱”なら、熱を一時的に蓄えておく装置を併用することで、夜間でも発電できるようになる。

会社Tips – 自社特許を活用して世界的な有名企業と提携

三鷹光器は医療用機器の分野で、世界的なカメラメーカーとして有名なライカとも提携を結んでいる。

ライカとの提携交渉をする際に、三鷹光器が交渉材料にしたのは自社が保有している特許技術。三鷹光器の特許技術を使うことで、ライカが魅力的な医療用機器を販売できるようになると説き、有利な条件を引き出した。

特許を取得して自社の技術をただまねできないようにするのではなく、特許を武器にして世界的な有力メーカーとも対等以上に渡り合う。三鷹光器はそのような形で特許を取得し、活用していく方針だ。

会社Tips – 5~10年後を見据えて採用する人材を評価

独特の採用試験を実施していることでも三鷹光器は有名だ。「現在の能力」ではなく「5~10年後にどうなっているか」を評価するための試験を用意。例えば、試験前に「このような試験をします」と告知することで、試験日までにどのような準備をしてくるか、学生の課題に取り組む姿勢を評価している。

面接試験対策をいくらやってきても、変えられない人の本質を見抜く。詳しくは動画内で説明しているので、気になる人は動画を見てみてほしい。