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成功企業紹介

株式会社三津海製作所

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注目の太陽光発電/メガソーラーに欠かせない大切な1ピースを生み出す

三津海製作所はこんな会社

三津海製作所は、ポンプメーカー。分かりやすいところでは、井戸や消防車などで使われているポンプだが、吸い上げるのは水(液体)だけでなく、空気(気体)を吸引する「真空ポンプ」という製品もある。三津海製作所が手掛けているのは、後者の「真空ポンプ」だ。

真空ポンプメーカーとして、三津海製作所は知る人ぞ知る企業。要求の厳しい真空ポンプを試作開発・製造している。例えば、銀行のATMはほとんどが同社製ポンプを採用。紙幣をきっちりと1枚ずつ、指定枚数を正確・高速に吸引するには、繊細な力加減が求められる。

真空ポンプを手掛けるメーカーは他にもあるが、顧客から「こんなポンプをつくりたい」と試作の相談を寄せられても「そのポンプ、上手く開発できたとして、どれだけ売れるの?」と採算性を考えてしまい、尻込みするメーカーがほとんど。嫌な顔をせずに顧客の要望に耳を傾け、かつその要望を実現できるだけの技術力を持つメーカーは数少ない。

そうして試作のノウハウを蓄えてきたのが三津海製作所。さまざまな真空ポンプを試作した中にはあまり売れずに終わってしまうポンプもあった一方、一時期は毎月300~1500台も必要とされた銀行ATM用ポンプなど、いくつかのヒット作も生み出してきた。

技術Tips –真空ポンプの仕組み

真空ポンプはポンプ内に「真空」状態をつくり出し、そこに空気が流れ込もうとする力を利用して対象物を吸引する。

真空を生み出す手法はさまざまで、ダイアフラム式、ロータリー式、ピストン式、ターボ分子式、スパッタイオン式、ソープション式などの種類がある。その中から、三津海製作所が手掛けるダイアフラム式、ロータリー式、ピストン式の仕組みを解説しよう。

◆ダイアフラム式
ダイアフラムとは、横隔膜のこと。横隔膜を上下させて呼吸をするように、ダイアフラムを外側に引っ張ることでポンプ内の気圧を下げて空気を吸い込み、内側に押し込むことで空気を吐き出す。

◆ロータリー式
密封されたポンプ内を、ローターによっていくつかの空間に分割する。ローターを回すと、各空間内の容積がそれぞれ変動。容積が増えるときには気圧が低くなり空気を吸い込みやすくなり、容積が減るときには圧力がかかった状態になり空気を排出しようとする。吸入口側では容積が増えて空気を吸い込むように、排出口側では容積が減って空気を吐き出すようにローターを設計・配置することで真空ポンプとなる。

◆ピストン式
ピストンを上下に動かすことで、ポンプ内の容積を変動させる。ピストンが押し上げられたときには容積が小さくなり、中の空気が外に出ようとする。逆にピストンが引き下げられたときには容積が大きくなり、外から空気がポンプ内に流れ込もうとする。このとき、吸入口にはポンプの内側にだけ空気が流れ込める弁、排出口には外側にだけ空気が流れ出せる弁を取り付けることで真空ポンプとして機能するようになる。

技術Tips – さまざまな場面で利用される真空ポンプ

三津海製作所の真空ポンプは、ATM以外にも実に多彩な用途で利用されている。その用途をいくつか紹介しよう。
・銀行の紙幣計算機
・産業機械(製造ラインを流れてくる物を吸い付けて、移動させる)
・半導体ウエハの吸着用装置
・液体・樹脂などに混ざる泡を取り除くための脱気装置
・焼肉の煙吸引
・歯医者で歯を削った後のカスや唾液を吸引するための装置
・泡風呂の泡発生源
・熱帯魚などの観賞魚の水槽用空気ポンプ
・真空パック用の空気を抜くポンプ
・印刷機の紙送り用ポンプ
それぞれの用途で最適な真空ポンプの形状・強さは異なっている。用途ごとに最適なポンプを作り出せるところが、三津海製作所の強みだ。

ビジネスTips – 試作でどうやって利益を得る?

前項のようにさまざまな用途で使われるポンプを作っている三津海製作所。試作から手伝っている案件が多いが、以前は試作にかかる費用をあまり負担してくれず、「試作後の量産を任せるから」といった条件で依頼してくる企業もあった。それが最近は、費用を全額負担してくれる企業や、半額を負担してくれる企業などが増えてきた。試作にかかる負担が軽減されて助かる反面、費用負担する代わりに、試作したモーターを他の企業に提供するのを制限したいと条件を出す企業もある。制限がなければ、試作で費用がかかっても、開発に成功したら他社にも販売することでもっと大きな利益を得ることができるかもしれない。バランスを取りながら、どのような条件の試作を増やしていくのか、ビジネスを考える上で悩ましいところだ。

会社Tips – 大手企業と並んで受賞した日経優秀製品・サービス賞

三津海製作所は1999年に、超小型真空ポンプ「MP-3」シリーズで日経優秀製品・サービス賞の日経産業新聞賞を受賞した。MP-3は従来のポンプと同程度のパワーでありながら、サイズを8分の1にまで小型化することに成功したポンプだ。

最終的に賞を受けたメーカーは、トヨタ、東芝、ドコモなどの大手企業ばかり。表彰式には渡邊社長が出席し、そんな大手企業の社長・幹部と肩を並べることになった。

会社Tips – 社員の独立を支援する「のれん分け」制度

ユニークな社内制度として、三津海製作所には「のれん分け」という制度がある。「1人で十分に仕事を回すことができる」と評価できるほどの技術を身に付けた社員には、独立を認めるという内容だ。独立希望の社員には、工場を立ち上げるのに必要な製造装置などを会社から無償で提供している。

これまでにのれん分けの制度を利用して独立したのは6人。配偶者の出身地に自分の工場を構えたい、と思って独立した社員もいる。

独立してから軌道に乗るまでの間は、できるだけ三津海製作所から仕事を依頼して支えていく。三津海製作所としては、気心知れた相手となら一緒に仕事をしやすく、急に業務量が増えたとしても、のれん分け先に頼むことで臨機応変に製造量を増やせるといった利点もある。