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成功企業紹介

東成エレクトロビーム株式会社

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「できない」加工も電子ビーム溶接で可能に。技術者の駆け込み寺

東成エレクトロビームはこんな会社

金属を溶かして接着する。溶接という加工方法は切削や研磨、鍛造といった加工方法と並び、モノづくりをする上で欠かせない技術の一つだ。

それだけに溶接技術は、モノづくりの発展とともに進化を遂げてきた。ガスを使うガス溶接が生み出され、現在は電気による放電現象を利用するアーク溶接が主流。レーザー光線で溶かすレーザー溶接、真空中で電子ビームを発生させて溶解する電子ビーム溶接といった最新の溶接技術も登場してきている。

東成エレクトロビームは、電子ビーム溶接や、レーザーを使った溶接・切断・穴あけ・表面改質・溝加工を手掛ける企業。特に電子ビーム溶接の第一人者として知られ、世界最速を競う自動車レース「F1」で走るマシンや、小惑星探査機「はやぶさ」に続く「はやぶさ2」に使われる部品の加工を任されている。

技術Tips – 「ガス」「アーク」「レーザー」「電子ビーム」でどう違う?

金属を溶かすために必要な熱量を発生させるため、「ガス」「アーク」「レーザー」「電子ビーム」といった手段が用いられている。それぞれどうやって金属を溶かしているのか、簡単に説明しよう。

【ガス溶接】
可燃性のガスを燃焼・吹き付けて金属を熱する。

【アーク溶接】
溶接する金属とは別に溶接棒/ワイヤを用意し、電気を流して一方をプラス、もう一方をマイナスの電極にする。そして技術者が溶接棒/ワイヤを持って溶接する金属に近づけると、大気中に放電現象(アーク放電)が起きる。この時に生じる熱を使って金属を溶かす溶接方法だ。
溶接する金属の劣化を防ぐため、そして放電を起こす媒介として、アーク溶接でもガスを使用する(ただし、こちらは二酸化炭素などの不燃性ガス)。放電するため、溶接中に火花のような強い光を発するのが特徴。

【レーザー溶接】
光を増幅・収束して放射した光ビームを溶接部に当てて溶かす。虫眼鏡で紙を焦がすのと同じ原理。大気中でも加工できるが、光を反射しやすい金属には向かず、厚みのある金属を加工するのにもやや不適。

【電子ビーム溶接】
真空中でマイナスの電極を約2800Kまで加熱すると熱電子が放出される。ここで、プラスとマイナスの電極間に最大で15万V(ボルト)の高電圧を印加すると、放出された電子が光の約63%の速度に加速されたビームになる。このビームを電磁コイルによって最小で直径0.2ミリ程度の微小スポットまで収束して溶接部に照射する。すると電子が金属と衝突する際に電子の持つ運動エネルギーが熱エネルギーに変換され、ビームが照射された部分は瞬時に溶融する。

技術Tips – 電子ビーム溶接の凄味

電子ビーム溶接は「真空下」という制約があるものの、「電子ビーム溶接でしかできない」利点もたくさんある。

【溶けにくい金属でも溶接できる】
溶ける温度が非常に高いタングステン(3387度)、モリブデン(2610度)といった金属でも容易に溶かして溶接できるようになる。
また真空下で作業することになるため、酸化しやすいチタンのような金属の加工にも適している。

【溶接による歪みを最小限に】
アーク溶接ではどう工夫しても広範囲の「円」で熱が発生してしまうが、電子ビーム溶接なら「点」で溶かすことができる。極短時間で極狭い範囲を溶かすことができるため、熱による金属の歪みをアーク溶接よりも大幅に抑えられる。

【別種の金属同士も上手に溶接可能】
別種類の金属同士を溶接しようとしても、金属が溶け出す融点が異なるため、アーク溶接では精度の高い溶接が困難。融点の高い金属に合わせた装置で加工すると、融点の低い金属の側では広範囲に熱が伝わりすぎて、歪みが大きくなってしまうからだ。
しかし電子ビーム溶接では、極狭い個所に高温を発生させることができるため、融点の高低をそれほど気にしなくても問題は起こらない。金属間の相性さえ合えば、上手く溶接することができる。

【小型や厚みのある部品加工にも向いている】
「円」で溶かすアーク溶接は、小型部品の加工に不向き。その点、電子ビーム溶接なら「点」で溶かす個所を決められるため、小型なものでも溶接できる。
また、金属に「点」で到達した電子ビームは、金属表面を瞬間的に溶解・気化させて「線」になる。ほかの溶接方法では難しい厚みのある金属の溶接でも、電子ビーム溶接なら可能なのだ。

会社Tips – 「ただの溶接」ではなく「溶接方法を生み出す」ことが仕事

宇宙関連、自動車、半導体、医療とさまざまな分野で使われる部品を溶接してきた東成エレクトロビームだが、実は量産品の溶接を扱うことはあまりない。「こんな部品を作りたいが、どの企業に相談しても『できない』と断られた」というような試作品開発の依頼や、「こういう部品を量産したいが、どんな手順にすればいいのか分からない」といった製造ラインの立ち上げ方に関する相談に応えることの方が多くなっている。

そこで溶接加工や試作品開発を受託するだけでなく、蓄えてきたノウハウをオープンにして、顧客企業のために活かそうと考えた。レーザー/電子ビーム溶接に使用する加工用機器を選定し、加工時の条件を検討・設定して、一般的な技術者でも使えるように作業手順をまとめ、導入後の指導・サポートまでを一つの窓口で提供する。そのために、エンジニアリング事業を立ち上げている。

大企業の下請けとして「ただの溶接」をするのではなく、大企業に請われて「溶接方法を生み出す」ことを仕事にする。東成エレクトロビームはそんな立ち位置の企業と言える。

会社Tips – 強みを活かすため、中小企業の連携を提唱

東成エレクトロビームのように「○○技術ならトップの企業」と大手企業からも認められている中小企業は探せば出てくるものだ。ただ、そうした技術企業であっても、単体で勝負していては「中小企業」として見られてしまう。それぞれが強みを持ち寄って連携し、一つの技術的な「連合体」として機能することで、大手企業にしか受注できなかった大型の仕事でも受注できるようになる可能性がある。

そんな同社の思いもあって、次の二つの連合体が生まれている。

【ファイブテックネット】
名前のとおり、5社の技術企業が集まった広域連合体。5社はいずれも中小企業庁の選出した「元気なモノ作り中小企業300社」に選ばれた企業だ。
東京、栃木、大阪、滋賀、福岡という異なる地域、レーザー/電子ビーム溶接、金属切削、工具製造、光学研磨、微細加工機製造という異なる技術的な強みを持つ5社が連携。それぞれの顧客企業から寄せられた相談に応えられる範囲を広げ、「より幅広い相談にも対応できるようになった」と打ち出すことで新たな顧客企業を開拓しようと試みている。

【アマテラス】
航空宇宙産業が必要とする加工技術を網羅するため、東京地区の中小企業10社が集結。板金・プレス加工、放電加工、レーザー/電子ビーム加工、切削機械加工、表面処理、絞り加工、熱処理、組立・整備という8分野において高度な技術力を持つ企業が集まっている。