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成功企業紹介

株式会社ウェルシィ

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膜ろ過システムでエコに貢献! 地下水を飲料水に変える

ウェルシィはこんな会社

水道の蛇口をひねれば水が出る。当たり前のことだが、その「当たり前のこと」が「当たり前ではない」時もある。例えば震災時。阪神・淡路大震災後は水道が断水し、復旧するまで2~3カ月も掛かった地域だってあった。東日本大震災でも広範囲に断水が発生し、病院や工場などの機能が低下した。

そんな断水時の備えとして、地下水を汲み上げて飲料水として使えるようにする「地下水膜ろ過システム」をウェルシィは開発・提供している。導入した病院・スーパー・工場・学校・ホテルなどの拠点数は900件以上。日本で使われている地下水飲料化のシステムの多くは、ウェルシィが提供しているものだ。

地下水膜ろ過システムを導入する利点としては、断水時の備えになること以外に、水道料金の削減ができるという点も挙げられる。条件次第で大きく異なってくるが、ウェルシィの試算によると、年間1200万円の水道料金が掛かっている拠点で導入した場合、必要な設備代やメンテナンス費を含めたとしても、1年当たり約240~290万円ほどの経費削減が期待できる。ほかにも、「災害時には近隣の住民に飲料水を提供することで地域社会に貢献」「地下水は水道水よりも、夏は冷たく冬は温かいことから、省エネにも役立つ」といった利点があり、地下水膜ろ過システムにはますます注目が集まっている。

技術Tips – 地下水をどうやって飲料化する?

地下水膜ろ過システムは「前処理」「膜ろ過」という2段構えで地下水をきれいにしていく。

まず前処理の段階では、砂や活性炭の入ったろ過装置に地下水を通す。この段階で既に、水道水と同じくらい透明になって、ろ過装置から水が出てくる。

次に特殊な膜によってろ過し、より安全な水を生成する。具体的には、同社は「UF中空糸膜」という膜を使っている。この膜の形状はストローのようになっていて、膜の側面には5ナノ(10億分の5)メートル以下の超微細な孔が開いている。

ちなみに大腸菌の大きさは1マイクロ(100万分の1)メートル前後。病原性大腸菌のO-157や微小な原虫であっても、ナノ単位の孔を通過することはできない。従ってUF中空糸膜に地下水を通すことで、人体に有害な細菌・原虫を閉め出すことができる。

そのような構造になっているUF中空糸膜は、“糸”という文字が含まれているように、糸のような見た目。その“糸”を9000本前後束ねて、円筒型の容器に入れる。そこに圧力を掛けて地下水を流し込むことで、5ナノメートル以上の微粒子等を捕捉し、きれいな水を取り出せるわけだ。

中には「導入後に水がおいしくなった」と感想を寄せている食品工場もあることから、地下水膜ろ過システムによって処理された水のきれいさを察してもらいたい。

【リンク】
http://www.wellthy.co.jp/product/water/faq.html#q6

技術Tips – 50項目にわたって定められた水道水の基準

日本で「水道水」として使われている水は、50項目にわたって定められた基準をすべて満たしているものだけだ。いくつかの項目を紹介すると、「大腸菌 検出されないこと」「水銀およびその化合物 0.0005mg/L以下」「カルシウム、マグネシウム等(硬度) 300mg/L以下」「有機物(全有機炭素(TOC)の量) 3mg/L以下」「pH値 5.8以上8.6以下」といった基準になっている。

前項で説明したウェルシィのシステムでろ過された水は、当然50項目すべての基準を満たしている。同社は水質検査を専門にする「日本エコロジィ研究所」を持ち、厚生労働省から水質検査機関として登録を受けている。同研究所だけで26人の大所帯。地下水膜ろ過システムによって処理された水の水質について、1項目ごとに専用の分析機械を使い、50項目にわたって定期的に検査していく。それだけの注意を払って、安全性を保証しているのだ。

ビジネスTips – 注目されている水ビジネス

水を取り巻くビジネスは、2025年には約87兆円の規模にまで成長すると予測されている。上下水道の整備・運用・管理、造水・工業用水・再生水などの幅広い領域を含めての予測値ではあるが、2011年の日本の製造業分野のGDP(国内総生産)が約87兆円。それだけの可能性を秘めているのが水ビジネスだ。ウェルシィもグローバルな展開を図るのに当たり、水源を地下水に限らず、また飲料水に限らず排水処理などの分野にも更に力を入れいく方針だ。

会社Tips – 月1件弱のペースで特許を申請

900件以上もの地下水膜ろ過システムを納入してきたことで、ウェルシィ社内からはさまざまな技術が生まれてきた。

これまでの特許申請するペースは年に数件。それが最新の水処理技術を研究・開発する中央研究所を設立したことで、2012年は1カ月に1件弱のペースで特許を申請することができた。研究領域も、地下水膜ろ過システムに関するものだけでなく、微生物試験などの基礎研究、微生物担持用のαコード開発などの素材開発、微生物による浄化などのバイオ技術の研究など、多岐にわたっている。

特許を約300件も申請した人物を副所長として招くなど、水処理にかかわる優秀な研究者を外部から採用してきた。ウェルシィの社員数は140人ほどだが、中央研究所の研究員の数を14人にまで拡大。全社員のうち、10人に1人は研究の仕事に集中していることになることから、同社の研究開発に掛ける意気込みが伝わってくるはずだ。

会社Tips – “常識外の発想”ができる100人に1人の人材を採用する

最先端の水処理にかかわる研究をしている中央研究所で求められるのは感性。100人中99人は常識に縛られて考えるが、残る1人は“常識外の発想”ができる。そんな固定観念や常識に縛られない感性の持ち主を採用する方針だ。

その結果、さまざまな経歴の研究員が集まっていて、産学連携で共同研究している上海交通大学出身の研究員も。日本語、英語、中国語の飛び交う国際色豊かな職場になっている。

一方、日本エコロジィ研究所では、細かい作業をコツコツと根気良く、間違いをしないように進められる人材が好まれる。女性のきめ細やかなところが評価されるためか、こちらの研究員の男女比は4:6で女性の方が多い。化学系の出身者が多いことも特徴だ。